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解雇の種類や、従業員を解雇したいときの注意点を解説

2023年09月26日
  • 労働問題
  • 解雇
  • 種類
解雇の種類や、従業員を解雇したいときの注意点を解説

解雇とは、会社と従業員(労働者)の間の労働契約を、会社が一方的に打ち切ることをいいます。

解雇には「懲戒解雇」「整理解雇」「普通解雇」の三種類があるほか、「諭旨解雇」も解雇と呼称されています。いずれにせよ、会社が従業員を解雇する際には、各解雇の種類に応じた要件等を満たさなければなりません。

本コラムでは解雇の種類や解雇に関する法規制、解雇手続きの流れなどについて、ベリーベスト法律事務所 越谷オフィスの弁護士が解説します。

1、解雇の種類|懲戒解雇・整理解雇・普通解雇・諭旨解雇

解雇には、「懲戒解雇」「整理解雇」「普通解雇」の三種類があります。
また、法的には解雇にあたりませんが、懲戒処分の一種である「諭旨解雇」も解雇と呼称されることがあります。

  1. (1)懲戒解雇とは

    「懲戒解雇」とは、従業員の非違行為を理由に行われる解雇です。

    たとえば、犯罪行為や度重なる無断欠勤など、深刻な非違行為がなされたケースでは、従業員の懲戒解雇が行われることがあります。

  2. (2)整理解雇とは

    「整理解雇」とは、会社の経営不振などを理由に行われる解雇です。

    整理解雇をする高度の必要性があり、他の手段によっては経営危機を回避できない場合には、整理解雇が行われることがあります。

  3. (3)普通解雇とは

    「普通解雇」とは、懲戒解雇と整理解雇以外の解雇です。

    従業員側に具体的な非違行為がなくとも、プライベートな原因によるケガで労働能力を失った場合や、業務に必要な能力が著しく欠けている場合、その他就業規則で定められている解雇事由に該当した場合などには、普通解雇が行われることがあります。

  4. (4)諭旨解雇とは

    「諭旨解雇」は、従業員に対して退職届を勧告する、懲戒解雇に次いで重い懲戒処分です。諭旨解雇を拒否した従業員に対しては、懲戒解雇を行うことが一般的です。

    諭旨解雇は、あくまでも従業員の自発的な退職という形式をとるため、法的な「解雇」とは異なります(「諭旨退職」と呼ばれることもあります)。
    しかし、実質的には強制的な退職処分であることから、「解雇」の呼称が用いられることが一般的です。

2、安易な解雇は違法|解雇に関する法規制

会社が安易に従業員を解雇すると、不当解雇を主張されて大きなトラブルに発展するおそれがあります。
会社としては、解雇に関する法規制につき、特に以下のような点について注意する必要があります。



  1. (1)解雇の種類に応じた要件を満たす必要がある

    懲戒解雇・整理解雇・普通解雇をするためには、それぞれ、以下の解雇要件を満たす必要があります。

    1. ① 懲戒解雇の要件
      就業規則上の懲戒事由に該当することが必要です。

    2. ② 整理解雇の要件
      以下の四つの要件を総合的に考慮したうえで、解雇の客観的合理性および社会的相当性が認められることが必要になります。
      (a)人員削減の必要性
      →経営危機を回避するため、人員削減が必要不可欠であること
      (b)解雇回避努力義務の履行
      →役員報酬や経費の削減、残業の抑制、昇給停止、非正規労働者の契約解消、配転・出向・転籍等の実施、希望退職者の募集、新規採用の抑制など、解雇以外の手段を尽くしてもなお整理解雇が必要であること
      (c)被解雇者選定の合理性
      →対象者選定の合理的な基準を策定し、その基準を適切に適用して対象者を選定したこと
      (d)手続きの妥当性
      →対象者本人や労働組合に対する説明など、納得を得るためのプロセス

    3. ③ 普通解雇の要件
      労働契約または就業規則に定められる解雇事由に該当することが必要です。


  2. (2)解雇が禁止されている場合がある

    労働基準法その他の法律では、差別的な理由に基づく解雇や、労働者が行った正当な行為に対する報復措置となるような解雇を、一律に禁止しています

    具体的には、以下のいずれかに該当する解雇は違法であるため、無効になるという点に注意してください。

    1. ① 国籍・信条・社会的身分を理由とする解雇(労働基準法第3条)

    2. ② 業務上の負傷・疾病の療養のために休業する期間、およびその後30日間に行われる解雇(同法第19条第1項)

    3. ③ 女性従業員の産前産後休業期間、およびその後30日間に行われる解雇(同法第19条)

    4. ④ 解雇予告または解雇予告手当の支払いに関する義務を履行せずに行われる解雇(同法第20条第1項)

    5. ⑤ 労働基準監督署に申告したことを理由とする解雇(同法第104条第2項)

    6. ⑥ 以下の事由による解雇(労働組合法第7条第1号)
      (a)労働組合員であること
      (b)労働組合に加入し、もしくは結成しようとしたこと
      (c)労働組合の正当な行為をしたこと

    7. ⑦ 不当労働行為の救済申立てなどを理由とする解雇(同条第4号)

    8. ⑧ 以下の事由による解雇(男女雇用機会均等法第9条第2項、第3項)
      (a)婚姻、妊娠、出産
      (b)女性従業員による健康管理措置の請求、または当該措置を受けたこと
      (c)以下の請求、またはこれらの措置を受けたこと
      • ・妊娠を理由とする就業制限
      • ・軽易な業務への転換
      • ・時間外労働の制限
      • ・休日労働の制限
      • ・深夜労働の制限
      (d)産前産後休業の請求、取得
      (e)育児時間の請求、取得
      (f)妊娠または出産に起因する症状による以下の事由
      • ・労務の提供ができないこと
      • ・労務の提供ができなかったこと
      • ・労働能率が低下したこと

    9. ⑨ 育児休業・介護休業の申し出・取得を理由とする解雇(育児・介護休業法第10条、第16条)


  3. (3)解雇権の濫用に当たる場合は違法

    解雇の種類に応じた要件を満たし、かつ上述したように法律的に禁止されているものにあたらないとしても、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当と認められない解雇は違法・無効となります(労働契約法第16条)。
    これを、「解雇権濫用の法理」といいます。

    解雇権濫用の法理は、労使関係において弱い立場に置かれがちな労働者を保護するために、きわめて厳格に運用されています。

3、会社が従業員を解雇する際の流れ

以下では、会社が従業員を解雇する際に行うべき検討や対応の流れを解説します。



  1. (1)解雇要件の検討

    まずは、これまでに説明してきた解雇要件についてもれなく検討して、労働者から不当解雇を主張された場合に反論するための準備を整えましょう。

    • 解雇の種類に応じた解雇要件を満たしているか
    • 解雇禁止に当たらないか
    • 解雇権の濫用に当たらないか


  2. (2)解雇予告または解雇予告手当の支払い

    会社が従業員を解雇する場合、以下のいずれかの対応が必要になります(労働基準法第20条第1項)。

    1. ① 30日以上前に解雇を予告する
    2. ② 30日分以上の平均賃金(=解雇予告手当)を支払う
    3. ③ 以下の式を満たすように解雇予告を行い、かつ解雇予告手当を支払う:
      解雇予告日から解雇日までの日数+解雇予告手当の計算基礎となる平均賃金の日数≧30日


    適切に解雇予告または解雇予告手当の支払いを行わないと、解雇は違法・無効になるという点に注意してください
    解雇予告を行う際には、証拠が残るように、メール等とあわせて内容証明郵便でも送付するようにしましょう。

  3. (3)解雇通知

    解雇予告によって指定した解雇日になったら、従業員に対して解雇通知を送付しましょう。解雇予告と同様に、メール等と併せて内容証明郵便でも送付してください。

    なお、従業員から解雇理由証明書の発行を請求されたら、会社はそれに応じなければなりません
    解雇理由証明書の記載内容は、従業員が不当解雇を主張する際の反論の対象になるため、きちんと検討したうえで記載しましょう。

4、従業員の解雇など、人事・労務管理については弁護士に相談を

会社が従業員を安易に解雇すると、不当解雇として違法・無効になる可能性があります。

不当解雇が認定された場合、原則として従業員の復職を認めなければなりません。合意退職にて和解するとしても、多額の退職金の支払いを強いられる可能性が高いと言えます。

従業員の解雇に関するトラブルが原因で会社が大きな損害を受ける事態を避けるためには、事前に弁護士に相談することが大切です
弁護士は、従業員の勤務状況など解雇に関する事情を分析したうえで、会社にとってリスクの少ない解決方法を提案することができます。
万が一トラブルが発生しても、交渉・労働審判・訴訟などの手続きを通じて、適切かつ迅速な解決を図ることも可能です。

また、弁護士には、解雇以外の労働問題についてもご相談いただけます。
残業代請求への対応や就業規則の整備など、人事・労務管理に関する企業の対応について、幅広くアドバイスやサポートをいたします。

解雇を含む人事・労務管理についてお悩みの企業は、お早めに弁護士までご相談ください。

5、まとめ

解雇には懲戒解雇・整理解雇・普通解雇の三種類があり、それぞれ対応する要件を満たさなければ違法となります。
また、解雇禁止や解雇権の濫用に該当する場合も、解雇が違法・無効となることに注意しましょう。

従業員との間で解雇に関する深刻なトラブルを避けるためには、定期的に弁護士に相談することが大切です。
ベリーベスト法律事務所では、解雇を含む人事・労務管理に関するご相談を承っております。
労働問題対応の経験を豊富に有する弁護士が、社内事情もふまえたうえで、丁寧に対応いたします。
企業の経営者や担当者で、問題のある従業員を解雇したい方や労働問題について幅広く相談できる弁護士を探している方は、まずはベリーベスト法律事務所にご連絡ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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