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年末調整の年収に残業代は含むのか? 担当者が知っておきたいポイント

2024年03月26日
  • 労働問題
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年末調整の年収に残業代は含むのか? 担当者が知っておきたいポイント

年末になると、会社は、従業員の年末調整を行わなければなりません。従業員の給与からは、毎月「源泉所得税」が天引きされていますが、これはあくまでも概算の所得税になります。年末調整では、従業員各自の状況に応じた正確な所得税額を計算し、過不足があれば還付または追徴が行われます。

このような年末調整を担当する方は、「年末調整の年収に残業代は含むのか?」、「残業代は年末調整の還付金に影響があるのか?」など、従業員からさまざまな質問を受けることになるでしょう。年末調整でミスがないようにするためにも、企業の担当者の方は、年末調整と残業代の関係をしっかりと押さえておくことが大切です。

本コラムでは、年末調整の年収に残業代が含まれるのかどうかなど、担当者が知っておきたいポイントについて、ベリーベスト法律事務所 越谷オフィスの弁護士が解説します。

1、給与所得控除とは

まず、給与所得控除の概要や計算方法から解説します。

  1. (1)給与所得控除の概要

    給与所得控除とは、所得税の計算の基礎となる給与所得額を確定させるために、労働者に支払われた1年間の給与などの収入金額に応じて差し引かれる控除です。

    自営業者であれば、所得税を計算する際に、収入から必要経費を控除することができますが、企業に勤める会社員(給与所得者)はこのような方法をとることができません。
    そこで、自営業者の必要経費の控除に代わるものとして認められているのが、給与所得控除です。
    なお、給与収入から給与所得控除が差し引かれた後の金額については、源泉徴収票の「給与所得控除後の金額」欄に記載されます。

  2. (2)給与所得控除の計算方法

    給与所得控除の計算方法は、労働者の給与収入に応じて以下のような計算式が定められています。

    給与等の収入金額 給与所得控除額
    162万5000円まで 55万円
    162万5001円から180万円まで 収入金額×40%-10万円
    180万1円から360万円まで 収入金額×30%+8万円
    360万1円から660万円まで 収入金額×20%+44万円
    660万1円から850万円まで 収入金額×10%+110万円
    850万1円以上 195万円


    たとえば、年収500万円の労働者の場合、給与所得控除額は、以下のようになります。

    600万円×20%+44万円=164万円


    給与所得は、給与収入額から給与所得控除を差し引いた金額になりますので、この労働者の所得金額は500万円-164万円=336万円になります。

2、年末調整の「年収」に残業代は含まれるのか

以下では、年末調整の年収に含まれるものと含まれないものについて説明します。

  1. (1)年末調整の年収に含まれるもの

    年末調整の年収とは、1月1日から12月31日までの1年間に労働者に支払われた「給与収入」です。
    給与収入には、源泉徴収前の給与や賞与などが該当しますが、給与には、以下のような手当が含まれます。

    • 残業手当
    • 休日出勤手当
    • 職務手当
    • 地域手当
    • 家族手当
    • 住宅手当


    また、以下のような現物支給や経済的利益も年末調整の年収に含まれます。

    • 無償または低い価額で提供した物品その他の資産
    • 無償または低価格で貸し付けた土地、家屋、金銭その他の資産
    • 無償または低い価格で提供した福利厚生施設の利用など
    • 個人的債務を免除または負担した額


    上記の例からもわかるように、年末調整の年収には、労働者に支払われた残業代も含まれます

  2. (2)年末調整の年収に含まれないもの

    以下のようなものは、年末調整の年収に含まれません。

    • 通勤手当のうち、一定金額以下のもの
    • 転勤や出張などのための旅費のうち、通常必要だと認められるもの
    • 宿直や日直手当のうち、一定金額以下のもの


    これらに該当するものがある場合には、年末調整の年収から除外して計算する必要があります。

3、残業代は年末調整の還付金に影響を与えるのか

残業代は、年末調整の年収に含まれることになります。
以下では、残業代が多い場合には、年末調整の還付金に影響が生じることがあるのかどうかについて解説します。

  1. (1)基本的には残業代は年末調整の還付金に影響しない

    結論から言うと、残業代が年末調整の還付金に影響が生じることは基本的にはありません

    労働者の給与からは、毎月会社が源泉徴収を行っていますが、源泉徴収の金額は、その月の残業代を含む給与から社会保険料などの金額を控除した後の金額を基準にして、国税庁の源泉徴収税額表により計算されています。
    つまり、残業代は毎月の源泉徴収の際にすでに源泉所得税が控除されているため、残業代が多かったとしても、年末調整の還付金が減ることはないのです。

  2. (2)未払いの残業代を支払うときには還付金に影響することもある

    基本的には、残業代により年末調整の還付金が減ることはありませんが、「労働者が会社に対して未払いの残業代請求を行った場合」は例外です。

    未払いの残業代の支払いをしたときには、通常の残業代の支払いと同様に源泉徴収の対象になります。
    年末調整前に給与と一緒に未払いの残業代が支払われたのであれば、その際に源泉徴収が行われますので、年末調整には影響はありません。
    しかし、年末調整の時期に未払いの残業代が支払われた場合には、源泉徴収が行われていないため、還付金が減少するなどの影響が生じることになります。
    未払いの残業代の金額次第では、源泉所得税の累計額を超え、還付ではなく追徴となる可能性もあるため、年末調整の担当者としては注意が必要です。

  3. (3)残業代が影響するのは主に社会保険料

    残業代が手取り額に影響するのは、主に社会保険料に関します。

    社会保険料を計算する際には、「標準報酬月額」が用いられます。
    標準報酬月額とは、社会保険料の計算を簡単にするために、1〜50までの等級に賃金を分けたものであり、社会保険料は、この標準報酬月額に保険料率をかけて計算します。
    標準報酬月額は、労働者に支払われた4月〜6月までの給与支給額の平均に基づいて算出しますので、4月〜6月に残業をして給与が増えてしまうと、標準報酬月額が上がり、社会保険料の増額となってしまいます。

    つまり、年末調整ではなく社会保険料に関しては、「残業代により手取りが減る」という事態が起こることもあるのです。

4、残業代に関して労働者とトラブルになった場合

残業代に関して労働者とトラブルになったときは、弁護士に相談することをおすすめします。

  1. (1)労働問題の適切な解決方法をアドバイスしてもらえる

    労働者との間では、年末調整に関する問題以外にもさまざまな問題が生じます。
    たとえば、残業代の計算が間違っていた場合には未払いの残業代請求をされることがあるほか、解雇した労働者から不当解雇を理由に解雇の撤回を求められることもあります。

    このようなトラブルが生じた場合には、労働問題に詳しい専門家である弁護士に相談しましょう。
    弁護士であれば具体的な労働問題に応じた最適な解決方法を提案して、深刻なトラブルに発展する前に解決することが可能です。

  2. (2)労働者との対応を任せることができる

    労働問題が生じた場合には、まずは労働者との話し合いにより問題の解決を図ることができます。
    しかし、経営者や担当者では、労働者側の主張が正当な理由に基づくものであるかどうかが判断することができず、誤った対応をしてしまうリスクがあります。

    このような場合には、労働者との対応は弁護士に任せましょう。
    弁護士が法的観点から冷静に対応することで、労働者の納得が得られる可能性も高くなります。
    また、労働者との話し合いで解決できない場合には、労働者側から労働審判の申立てや訴訟提起がなされることもありますが、弁護士にはそのような法的手続きについても対応を依頼することができます。

  3. (3)顧問弁護士を利用すれば未然のトラブルの防止も可能

    労働問題を未然に防ぐためには、顧問弁護士を利用するのも有効な手段となります。
    顧問弁護士がいれば、日常的な疑問や悩みなどが生じたときはすぐに弁護士に相談することができますので、トラブルを未然に防ぎやすくなります。

    また、会社の実情をよく把握している顧問弁護士であれば、就業規則の見直しやリーガルチェックなどを行い、トラブルが生じにくい体制の整備を図ることもできます

5、まとめ

年末調整の年収には、残業代も含まれます。
しかし、残業代については毎月の給与支給の際に源泉徴収が行われているため、残業代が多かったとしても、年末調整による還付金に影響が生じることはありません。

労働者と企業の間には、解雇、雇い止め、配置転換、残業代の未払い、セクハラ、パワハラなどのトラブルが生じることもあります。
このようなトラブルが生じた場合には、専門家である弁護士のサポートが不可欠であるため、お早めにベリーベスト法律事務所までご相談ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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