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一度決めた婚姻費用を後から減額できる? 減額請求の流れとは

2023年09月26日
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一度決めた婚姻費用を後から減額できる? 減額請求の流れとは

別居をしていても夫婦であるという事実に変わりはないため、夫婦のうち収入の多いほうが低いほうに対して「婚姻費用」を支払う必要があります。

しかし、別居後に婚姻費用の取り決めをしたものの、思ったよりも離婚の話し合いが長引いたことから、当初取り決めた金額では支払いが難しくなるというケースもあります。
このような場合には、婚姻費用の金額を減額することを検討しましょう。

本コラムでは、婚姻費用の減額ができる場合やできない場合、減額を求める際の手続きなどについて、ベリーベスト法律事務所 越谷オフィスの弁護士が解説します。

1、婚姻費用の支払義務とは

まず、婚姻費用に関する基本的な概要を解説します。

  1. (1)婚姻費用とは

    婚姻費用とは、夫婦がお互いの生活を維持していくために必要となる費用のことです。
    婚姻費用には、食費や住居費、医療費や子どもの学費など、夫婦が生活していくために必要となる費用が含まれています。

    離婚を前提に別居をしたとしても、夫婦であるという事実は変わらないため、夫婦のうち収入の多いほうは、少ないほうに対して婚姻費用の支払いをする義務があります。
    義務者(収入の多いほう)は、権利者(収入の少ないほう)から婚姻費用の請求があった時点から、離婚が成立するか、または別居が解消されるまでの間、支払いを続けなければなりません。

  2. (2)婚姻費用を支払わないことによるリスク

    婚姻費用の支払いを行わないことには、以下のようなリスクが存在します。

    1. ① 離婚にあたって不利になる可能性
      婚姻費用の支払いは夫婦間の基本的な義務である「扶助義務」(民法752条)に基づくものであるため、婚姻費用の不払いは扶助義務違反となります。
      そして、正当な理由なく扶助義務に違反することは、法定離婚事由である「悪意の遺棄」(民法770条1項2号)に該当する可能性があります。

      悪意の遺棄に該当すると、相手から慰謝料を請求される可能性があります
      また、有責配偶者として離婚を請求することができなくなる可能性があります。
      逆に、離婚したくない場合でも、裁判によって離婚が認められてしまうことになるのです。

    2. ② 財産が差し押さえられる可能性
      婚姻費用の取り決めが、調停や審判、または公正証書によって決められている場合には、婚姻費用の不払いがあると権利者から強制執行を申し立てられる可能性があります。

      強制執行が申し立てられると義務者の預貯金や給料が差し押さえられることになるので、職場にも婚姻費用の不払いが知られてしまうでしょう

2、一度決めた婚姻費用の減額は可能?

以下では、一度決めた婚姻費用の金額を減額することができるかどうかについて解説します。

  1. (1)事情変更があれば婚姻費用の減額は可能

    基本的に、相手が同意してくれば、婚姻費用を減額することができます。
    また、相手の同意が得られなくても、家庭裁判所の調停や審判によって事情変更が認められた場合には、婚姻費用の減額が可能になります

    事情変更が認められるかどうかは、以下のような要素をふまえて判断されます。

    • 取り決めの前提である客観的事情に変更があったこと
    • 取り決め時に当事者が予見できないような事情が生じたこと
    • 事情変更が当事者の責めに帰することができない事情に基づき生じたこと
    • 取り決めどおりに支払いを続けることで著しい不公平が生じること
  2. (2)婚姻費用の減額が認められる可能性があるケース

    以下では、婚姻費用の減額が認められるケースについて具体的に解説します。

    1. ① 義務者の収入が大幅に減少した
      リストラなどにより義務者が職を失うと義務者の収入が大幅に減少することになります。当事者の収入に基づいて婚姻費用の金額が定められた場合、そのままの金額を維持することは当事者間に著しい不公平が生じます。

      このような場合には、事情変更にあたり婚姻費用を減額できる可能性があります。

    2. ② 権利者の収入が大幅に増加した
      専業主婦であった権利者が正社員として就職したケースのように、権利者の収入が大幅に増加した場合には、当初定めた金額そのままの支払いがなくても、権利者は義務者と同水準の生活を維持することができると考えられます。

      したがって、このような場合も事情変更にあたり、婚姻費用を減額できる可能性があります。
  3. (3)婚姻費用の減額が認められない可能性があるケース

    以下では、婚姻費用の減額が認められるケースについて具体的に解説します。

    1. ① 義務者が転職や自主退職により収入が減少した
      義務者の収入の大幅な減少は、婚姻費用の減額事由となりますが、義務者に責任のない事情であることが必要です。
      リストラであれば会社側の一方的な都合でなされるものであるため、義務者には責任はありませんが、転職や自主退職の場合、基本的には、義務者が自らの意向で選択した結果にすぎないものといえます。

      そのような事情によって収入の減少が生じたとしても、義務者の責任とされるため、婚姻費用の減額を求めることはできない可能性があります。

      また、仮に、義務者に責任のない事情で収入が減少したとしても、義務者が働こうと思えば働けるのにもかかわらず、働こうとしない場合は、無収入と扱われるのは公平の観点から相当でないということにもなります。この場合、無収入とは扱われず、その時の働くことのできる能力(これを「稼働能力」といいます)から、収入が推計されることになります。

    2. ② 収入の減少や増加が予想できた
      義務者の収入の減少や権利者の収入の増加があったとしても、それが婚姻費用を定めた時点で予想できた場合には、婚姻費用の減額は認められません。

      これらの事情が予想できた場合には、それらの事情をふまえて婚姻費用の金額を定めていたはずであるため、事情変更にはあたらないのです。

3、婚姻費用を減額したい場合の流れ

以下では、婚姻費用の減額を求める場合の、手続きの流れを解説します。

  1. (1)夫婦で話し合い

    婚姻費用の減額を求める場合には、まずは夫婦で話し合い(協議)を行います。
    話し合いの結果、権利者が婚姻費用の減額に応じてくれれば、婚姻費用を減額することができます。
    当初の婚姻費用の取り決めは協議でなく調停または審判で行っていた場合にも、夫婦間の協議のみで減額をすることが可能です。

    ただし、話し合いで婚姻費用の減額をするためには、相手の同意が不可欠です
    婚姻費用の減額が必要になった事情をきちんと伝えて、相手の納得を得るように努めましょう。

  2. (2)婚姻費用減額請求調停の申立て

    夫婦の話し合いでは婚姻費用の減額に至らなかった場合には、家庭裁判所に婚姻費用減額調停の申立てを行うことになります、
    調停は協議と同じく、夫婦間で話し合いを行う手続きです。ただし、裁判官や調停委員が間に入って助言や説得をしてくれるため、夫婦だけで話し合いをするよりも合意に至る可能性が高くなります

    調停では、夫婦それぞれの意見や事情変更の有無および内容をふまえて、調停委員が最適だと考える婚姻費用の金額が提示されます。
    その金額に当事者双方が納得すれば調停は成立となりますが、どちらか一方でも反対した場合には、調停は不成立になります。

  3. (3)婚姻費用減額審判

    調停が不成立になった場合には、特別な申立てを必要とすることなく、自動的に審判に移行します。
    審判では、裁判官が調停で提出された資料など一切の事情を考慮して、適切だと考える婚姻費用の金額を決定します。
    その際には、当初の取り決めから事情変更があったかどうかが重要なポイントになります

    事情変更にあたる事情を証拠に基づき主張・立証することができれば、婚姻費用の減額が認められる可能性が高くなります。
    なお、裁判所の審判に不服がある場合には、審判書を受け取った翌日から2週間以内に即時抗告という不服申し立てをすることも可能です。

4、婚姻費用に関する問題を弁護士に相談するメリット

婚姻費用に関する問題でお悩みの方は、弁護士に相談してください。

  1. (1)婚姻費用の減額の可否を判断してもらえる

    婚姻費用の減額ができるかどうかは、事情変更にあたるかどうかによって異なってきます。そして、事情変更にあたるどうかは、さまざまな事情を考慮して判断することになりますので、知識や経験がなければ正確に判断することは難しいといえます。

    婚姻費用の減額をお考えの方は、まずは、ご自身のケースでは婚姻費用の減額が可能であるかどうかを判断するためにも、専門家である弁護士に相談してください。

  2. (2)婚姻費用の減額交渉を任せることができる

    婚姻費用の減額を求める場合には、まずは、相手との交渉が必要になります。

    しかし、権利者からすると、婚姻費用が減額されることによって自分が獲得できる金額が少なくなるため、すぐに受け入れてもらうことは難しいでしょう。
    相手に納得してもらうためには、婚姻費用の減額事由に該当することを法的根拠に基づいて説明することが必要になります

    交渉により相手を説得するためにも、専門家である弁護士に依頼して交渉のサポートをしてもらうことや、交渉を代行してもらうことを検討してください。

  3. (3)調停や審判のサポートをしてもらえる

    話し合いで婚姻費用の減額できない場合には、家庭裁判所の調停や審判を利用する必要があります。

    調停は、基本的には話し合いの手続きになりますが、弁護士のサポートを受ければご自身の事情をしっかりと調停委員に伝えやすくなります
    また、調停での資料は、審判にも引き継がれますので、事情変更にあたるということをしっかりと主張・立証していかなければ、婚姻費用の減額を認めてもらうことができません。
    婚姻費用の減額の可能性を少しでも高めるためにも、まずは弁護士に相談しましょう。

5、まとめ

離婚時に婚姻費用の取り決めをしたとしても、その後、事情変更があれば婚姻費用の減額を求めることができます。
婚姻費用は離婚が成立するまでの一時的な費用ですが、離婚の話し合いが長期化すると婚姻費用の金額の負担も大きくなってしまいます。
収入の減少などにより婚姻費用の支払いが難しい状況になった場合には、早めに弁護士に相談して、婚姻費用の減額請求を進めていくとよいでしょう。

婚姻費用の減額を希望される方は、まずはベリーベスト法律事務所にご連絡ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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