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自己愛性パーソナリティ障害の配偶者と離婚できる? 判断基準や対処法を紹介

2023年09月26日
  • 離婚
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自己愛性パーソナリティ障害の配偶者と離婚できる? 判断基準や対処法を紹介

「自己愛性パーソナリティ障害」とは、個人のパーソナリティ特性が顕著で、融通がきかず、不適応であるために、仕事や学業、人づきあいに問題が生じている場合に認められる障害の一種です。自己愛性パーソナリティ障害の患者には、自分の能力を過大評価し、自分の業績を誇張し、他者の能力を過小評価する傾向があると言われています。

そして、配偶者が自己愛性パーソナリティ障害であった場合には、「自分が正しい」という思い込みから、周囲の人の人格や尊厳を傷つけるような言動を行ってしまうことがあるのです。あまりにも行き過ぎた言動にあったと認められる場合、「その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき」という法律上の離婚事由に該当する可能性もあります。

本コラムでは、自己愛性パーソナリティ障害の配偶者と離婚する方法などについて、ベリーベスト法律事務所 越谷オフィスの弁護士が解説します。

1、「自己愛性パーソナリティ障害」とはなにか

まず、自己愛性パーソナリティ障害がどのような障害であるか、配偶者が自己愛性パーソナリティ障害であるときに生じる危険などを解説します。

  1. (1)自己愛性パーソナリティ障害の特徴や原因

    「自己愛性パーソナリティ障害」は、個人のパーソナリティ特性が顕著で、融通がきかず、不適応であるために、仕事や学業、人づきあいに問題が生じている場合に認められる障害の一種です。「自己愛性人格障害」と呼ぶこともあります。
    具体的には、以下のような特徴を持ちます。

    • 自分に対して誇大なイメージを抱く
    • 第一印象が良い
    • 自己アピールが得意
    • 有名人や権力者とのつながりをアピールする
    • 周りの人たちを蹴落とす
    • 自分が一番かわいい
    • 自分の利益のために他人を利用する


    このような自己愛性パーソナリティ障害は、遺伝子と環境要因が発症の原因であると言われています。たとえば、親が子どもに対して過度に批判的であった家庭や、逆に過度に賞賛・称揚や過度の甘やかしをしていた家庭では、子どもが安定した自己感覚を養うことができず、自己愛性パーソナリティ障害を発症する可能性があると言われています。

  2. (2)自己愛性パーソナリティ障害の配偶者と生活する危険性

    配偶者が自己愛性パーソナリティ障害者であった場合、結婚生活を続けることには、一定のリスクが伴います。

    自己愛性パーソナリティ障害の配偶者は、自分に対して誇大なイメージを持つため、常に「自分が正しい」、「相手が間違っている」という認識で接してくる場合があります。
    自己愛性パーソナリティ障害の配偶者に対し、なにか意見をしたとしても、「お前が間違っている」と決めつけて意見を聞いてくれないことがあるでしょう。
    そのような対応をされ続けると、相手としてもだんだんと「自分は価値のない人間だ」という認識に陥るようになり、自己愛性パーソナリティ障害の配偶者に依存する生活となってしまうおそれがあるのです。
    結婚前は健康的ではつらつとした人でも、自己愛性パーソナリティ障害の配偶者と結婚することで徐々に精神を病んでいき、精神疾患に陥るリスクがあります

  3. (3)モラハラとの関係性

    配偶者が自己愛性パーソナリティ障害であった場合には、いわゆる「モラハラ」の被害にあう可能性が高くなります。
    毎日、罵倒されたり、人格を否定されたりするような言動を繰り返されてしまうことで、精神的に多大な苦痛を被るおそれがあるでしょう。

    このようなモラハラの被害にあっている方は、離婚することも検討してください。

2、自己愛性パーソナリティ障害の判断基準

自己愛性パーソナリティ障害の診断は、基本的には、アメリカ精神医学会におる「DSM-5」に基づいて診断されます。
原則的には、以下の項目のうち五つ以上に該当すれば、自己愛性パーソナリティ障害と判断されるのです

  • 自分が重要であるという誇大な感覚(業績や才能を誇張する、十分な業績がないにもかかわらず優れていると認められることを期待する、など)
  • 限りない成功、権力、才気、美しさ、あるいは理想的な愛の空想にとらわれている
  • 自分が特別であり、独特であり、他の特別なまたは地位の高い人たち(または団体)だけが理解しうる、または関係すべきだと信じている
  • 過剰な賛美を求める
  • 特権階級意識(特別に有利な取り計らい、または自分が期待すれば相手が自動的に従うことを理由もなく期待すること)
  • 対人関係で相手を不当に利用する(自分自身の目的を達成するために他人を利用する)
  • 共感の欠如(他人の気持ちおよび欲求を認識しようとしない、またはそれに気づこうとしない)
  • しばしば他人に嫉妬する、または他人が自分に嫉妬していると思い込む
  • 尊大で傲慢(ごうまん)な行動、または態度

3、自己愛性パーソナリティ障害の配偶者と離婚したい場合は?

以下では、自己愛性パーソナリティ障害の配偶者と離婚する場合の、手続きの進め方を解説します。

  1. (1)話し合いでの離婚は困難なケースが多い

    配偶者と離婚をする場合には、基本的には相手の同意がなければ離婚をすることができません
    そのため、協議離婚や調停離婚では、まずは相手との話し合いにより離婚の合意を目指していくことになります。

    しかし、相手が自己愛性パーソナリティ障害である場合には、「自分が常に正しい」と考えていることから、離婚理由を伝えられたとしても、まったく受け入れてもらえず、逆に相手が間違っているとして強い非難を浴びせてくる可能性があります。
    さらに、離婚を切り出されたことで相手が逆上して、普段よりもひどいモラハラの被害にあうおそれもあるのです。

    また、離婚に応じてくれたとしても、相場とはかけ離れたような離婚条件を当然のように主張してくる可能性があります。
    そのため、夫婦間だけの話し合いでは、自己愛性パーソナリティ障害の配偶者と離婚を進めることは困難なケースが多いといえるでしょう。

    配偶者が自己愛性パーソナリティ障害である場合またはその可能性がある場合には、離婚を切り出す前に、今後の対応を検討するために弁護士に相談することをおすすめします。

  2. (2)協議や調停で離婚できない場合には裁判を起こすことが必要

    自己愛性パーソナリティ障害の配偶者との話し合いで離婚が成立しない場合には、協議離婚や調停離婚という方法をとることができないため、最終的には裁判所に離婚の裁判を提起する必要があります。
    離婚の裁判では、協議離婚や調停離婚とは異なり、当事者の話し合いではなく、裁判所が法律上の離婚原因の有無を判断します。
    そして、民法770条1項各号に定められているその離婚原因は以下のとおりです。

    • 不貞行為
    • 悪意の遺棄
    • 3年以上の生死不明
    • 回復の見込みのない強度の精神病
    • その他婚姻を継続し難い重大な事由


    このうち、「回復の見込みのない強度の精神病」は、重度の統合失調症や認知症などを指します。
    自己愛性パーソナリティ障害は「回復の見込みのない強度の精神病」には当てはまらないため、障害があるというだけでは離婚事由が認められないことに留意してください

    一方で、自己愛性パーソナリティ障害の配偶者からモラハラを受けているという場合には、モラハラの事実が「その他婚姻を継続し難い重大な事由」に該当する可能性があります。
    裁判になった場合には、「その他婚姻を継続し難い重大な事由」に該当する事情を主張・立証していくことになるでしょう。

4、自己愛性パーソナリティ障害の配偶者が離婚を嫌がったときの対処法

自己愛性パーソナリティ障害の配偶者が離婚を嫌がったときは、以下のような対処法を検討してください。

  1. (1)配偶者と別居して婚姻費用分担調停、または離婚調停を起こす

    配偶者が自己愛性パーソナリティ障害であった場合、話し合いを続けても、相手から罵倒されるなどのリスクがあります。
    したがって、早めに別居することを検討しましょう。

    別居することには、自己愛性パーソナリティ障害の配偶者からのモラハラを回避すること以外にも、裁判離婚を視野に入れたときに備えて別居期間を延長できる、という効果もあります。
    裁判離婚では、法律上の離婚原因がなければ離婚できないというのはすでに説明しましたとおりです。そして、夫婦の別居期間の長さも、「その他婚姻を継続し難い重大な事由」を判断する際のひとつの要素となります。一般に、別居期間が長くなればなるほど、離婚が認められる可能性は高くなります

    なお、別居中の生活費は「婚姻費用」という名目で配偶者に請求することができます。
    話し合いをしても婚姻費用の支払いに応じてくれない場合には、離婚調停と一緒に婚姻費用分担調停を申し立てることを検討しましょう。

  2. (2)離婚訴訟

    離婚調停が不成立になった場合には、家庭裁判所に離婚訴訟を提起する必要があります。
    離婚訴訟では、離婚を求める側が、法律上の離婚原因が存在していることを主張・立証していく必要があります。
    したがって、相手がモラハラをしていることなどを立証するための証拠が重要になるのです。
    その際、相当の別居期間を経ているなど、客観的にも婚姻関係が破綻していると認められる事情があればなお有利です

    どのような証拠が必要になるかは、夫婦間の具体的な事情によって異なってくるため、まずは弁護士に相談して、アドバイスを受けましょう。
    離婚問題に詳しい弁護士であれば、自己愛性パーソナリティ障害の相手と離婚する方法や証拠収集のポイントなどを的確にアドバイスすることが可能です。

5、まとめ

自己愛性パーソナリティ障害がある人は「自分が常に正しい」という認識から周囲の人を罵倒したり、否定したりするような言動をとることがあります。
もし配偶者の言動から自己愛性パーソナリティ障害に該当しそうだと疑われる場合には、第三者を交えながらカウンセラーなどを受診することを検討しましょう

配偶者との離婚する場合には、離婚の方法や適切な離婚条件について客観的・専門的な観点からアドバイスを受けるために、離婚を切り出す前に弁護士に相談することをおすすめします。
配偶者の言動やモラハラによって精神的な苦痛を受けており、離婚を検討されている方は、まずはベリーベスト法律事務所にご連絡ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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