スピード離婚で結婚式費用は相手に請求できる? 指輪や結納金の対応も

2025年07月28日
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スピード離婚で結婚式費用は相手に請求できる? 指輪や結納金の対応も

プロポーズを経て結婚をしたものの、結婚式の準備で馬が合わないなどして、挙式日の前後で離婚してしまう夫婦もいるでしょう。結婚から間もなく離婚してしまうことを「スピード離婚」と呼ぶこともあります。

スピード離婚を決意したものの、結婚式費用や結婚指輪、結納金などの費用について、配偶者へ請求したい方もいるかもしれません。しかし、このような結婚により発生した費用は、あとから相手に請求できるのでしょうか。

当コラムでは、スピード離婚で結婚式費用など、結婚により発生した費用を配偶者に請求できるかどうか、離婚の進め方などについてベリーベスト法律事務所 越谷オフィスの弁護士が解説します。


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1、スピード離婚で結婚式費用は相手に請求できる?

スピード離婚とは、一般的な定義があるわけではありませんが、結婚後3年未満に離婚することを指すことが多いです。離婚する前に結婚式を挙げた場合、自分が負担した結婚式費用を相手に払ってもらいたいとお考えの方もいるでしょう。以下で詳しく説明します。

  1. (1)原則|財産分与の対象外であるため相手に請求できない

    結論から言うと、結婚式費用は、原則として相手に請求することはできません

    離婚する場合、夫婦は財産分与により共有財産を分け合うことが可能です。共有財産には、預貯金や不動産などのプラスの財産のほか、借金や負債などのマイナスの財産も含まれます。そのため、共有財産として、結婚式費用やブライダルローンを含めて請求できるとお考えの方もいるでしょう。

    しかし、財産分与の対象となる共有財産は、婚姻期間中に夫婦が協力して維持・形成した財産です。結婚式費用やブライダルローンは、「婚姻前」に発生した費用として、財産分与の対象外となります

  2. (2)例外|離婚原因や相手の有責性によっては請求できるケースもある

    先述のとおり、結婚式費用は、基本的に相手に請求できません。一方、離婚原因や相手の有責性によっては、例外として請求できる可能性があるでしょう

    具体的には、配偶者が結婚式を挙げる前から不倫をしていて、不倫が発覚したためにスピード離婚を余儀なくされたケースが挙げられます。この場合、不倫の慰謝料とともに、結婚式費用も請求できる可能性があります。

    なお、夫婦の話し合いによりお互いが合意すれば、結婚式費用を相手に請求することができます。

2、入籍に関連する費用はどうなる?

結婚式費用以外にも、入籍の際に発生したさまざまな費用について、相手に請求を検討している方もいるでしょう。以下では、スピード離婚で入籍に関連する費用を相手に請求できるのかについて説明します。

  1. (1)婚約指輪

    結婚にあたり、どちらか一方が相手に結婚指輪を渡すケースは少なくありません。
    婚約指輪を渡す行為は、法的には贈与に該当し、渡した時点で指輪の所有権は贈った相手に移ります。

    離婚したからといって、贈与契約が無効になるわけではありません。そのため、贈られた相手はそのまま婚約指輪を持ち続けることができ、贈り主に返還する義務はありません

  2. (2)結納金や嫁入り道具

    結納金とは、婚約のしるしとして一般的に男性側から女性側に贈られるお金を指します。
    結納金も法的には贈与に該当し、離婚により贈与契約が無効になることはないため、返還は不用なお金です

    嫁入り道具とは、女性が結婚する際に、男性の家に持参する家財道具を指します。嫁入り道具は、女性側の親が結婚する子どもに対して持たせるものであり、妻の特有財産にあたります。そのため、嫁入り道具は財産分与の対象には含まれず、離婚時に夫へ渡す必要もありません。

    また、スピード離婚であっても、嫁入り道具の購入費用を相手に請求することは原則としてできません。

  3. (3)結婚式のご祝儀

    結婚式の直後に離婚すると、結婚式に参列した友人や親族からのご祝儀が手元に残っていて、返還すべきが悩むこともあるでしょう。しかし、スピード離婚を理由に、結婚式のご祝儀を贈り主に返還する必要はありません。
    なお、結婚式のご祝儀は夫婦の共有財産に該当するため、離婚時の財産分与として配偶者と分け合うことになります。

  4. (4)ハネムーンの費用

    スピード離婚をした場合、夫婦のどちらか一方が負担したハネムーン費用を相手に請求したいと考える方もいるでしょう。
    しかし、ハネムーン費用を折半で負担する、といった明確な合意がない限りは、スピード離婚になったとしても相手に費用負担を求めることは難しいでしょう。

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3、スピード離婚の進め方

結婚後すぐに離婚することになった場合、以下のような流れでスピード離婚の手続きを進めていきます。

  1. (1)結婚式費用や養育費などの離婚条件について話し合う

    相手との離婚を決意したときは、まずは離婚に向けた話し合いを行っていきます。
    その際は、慰謝料や財産分与などの離婚条件についても決めていかなければなりません。さらに、夫婦に子どもがいる場合には親権、養育費、面会交流の取り決めが必要です。

    スピード離婚のように婚姻期間が短いと、取り決める離婚条件は少ないかもしれませんが、しっかり話し合って決めましょう。
    なお、結婚式費用は、原則として相手に請求することはできません。しかし、相手が結婚式費用を負担することに同意すれば請求が可能です。

  2. (2)合意できれば離婚が成立する(協議離婚)

    夫婦の話し合いにより離婚の合意がまとまったら、離婚届を役所に提出することで離婚成立となります。

    離婚時に離婚条件の取り決めをしたときは、口頭での合意だけではなく、必ず離婚協議書を作成してください。将来のトラブルを防ぐには、離婚協議書を公正証書の形にするのがおすすめです。
    公正証書とは、公務員である公証人が作成する公文書のことで、相手が養育費を払わなくなったなどした際に裁判を起こさず相手の財産を差し押さえるなどの強制執行手続を申し立てることができます。

  3. (3)合意できない場合は離婚調停を申し立てる

    夫婦の話し合いで離婚の合意ができないときは、家庭裁判所に離婚調停の申し立てをしましょう。
    離婚調停では、裁判所の調停委員が関与して離婚に向けた調整を行うため、夫婦だけで話し合いをするよりもスムーズな解決に期待できます。調停での話し合いの結果、合意がまとまれば調停成立となります。

    調停成立後は、離婚届を提出して離婚成立が成立します。離婚時の合意については、調停調書に記載されるため、離婚協議書の作成は不要です。

  4. (4)調停不成立の場合は離婚裁判を検討する

    調停で離婚の合意がまとまらないときは、調停不成立となり、裁判所に離婚訴訟の提起が必要になります。
    ただし、裁判離婚では、以下の法定離婚事由がなければ離婚をすることはできません

    • 不貞行為
    • 悪意の遺棄
    • 3年以上の生死不明
    • 回復の見込みのない強度の精神病
    • その他婚姻を継続しがたい重大な事由


    裁判離婚をするには、これらに該当する事情があることを、証拠によって立証しなければなりません。

4、離婚のトラブルは弁護士に相談を

離婚に関するトラブルでお困りの方は、弁護士に相談することをおすすめします。弁護士に相談するメリットをいくつか紹介しましょう。

  1. (1)相手との交渉を任せられる

    離婚をするには、まずは相手との話し合いが必要になります。しかし、お互いに相手のことを批判してしまう可能性があり、当事者同士では冷静に話し合えないこともあるでしょう。

    弁護士に依頼すれば、相手との交渉を代行でき、冷静に物事を判断しながら話し合いに臨むことが可能です。また、依頼人は配偶者との話し合いに直接参加しないため、精神的ストレスも大幅に軽減されるでしょう。

  2. (2)離婚理由によっては慰謝料請求を検討できる

    配偶者の不倫やDV、モラハラなどが原因で離婚したい場合、慰謝料を請求できる可能性があります。

    ただし、慰謝料を請求するには、相手の有責性を証拠により立証しなければなりません。弁護士は、具体的な事案に応じて必要な証拠や証拠の収集方法などをアドバイスでき、慰謝料請求に必要な証拠を確保することが可能です。

  3. (3)財産分与についてアドバイスを受けられる

    スピード離婚をする場合、夫婦の共有財産は比較的多くありませんが、一般的な離婚と同様に財産分与を請求することができます。
    財産分与は、対象となる財産の選別、財産の評価など専門的知識がなければ対応が難しいこともあるため、まずは弁護士に相談してアドバイスを受けましょう。弁護士のアドバイスをもとに対応することで、有利な条件で離婚できる可能性が高くなります。

5、まとめ

スピード離婚をする際、結婚式費用は財産分与の対象外であるため、相手に請求できない可能性が高いでしょう。ただし、離婚原因や相手の有責性によっては請求できる可能性があります。また、夫婦の話し合いによって合意できたときも、結婚式費用を請求することが可能です。

スピード離婚で財産分与や養育費、慰謝料請求などをお考えの方は、弁護士に相談することで最適な解決策を受けましょう。
その際は、ベリーベスト法律事務所 越谷オフィスまでご相談ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています