道路や庭で花火をすることが法律違反になる場合は? 罰則を解説

2023年12月19日
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道路や庭で花火をすることが法律違反になる場合は? 罰則を解説

越谷市では、例年、元荒川と葛西用水の中土手で越谷花火大会が開催されています。令和5年7月には、感染症予防のため中止されていた同大会が4年ぶりに開催され、多くの観客でにぎわいました。

大きな規模で開催される花火大会は夏の風物詩として親しまれる一方で、おもちゃとして市販されている手持ち花火や打ち上げ花火を楽しむ方も多くおられます。とくに夏季は公園や河川敷のほか、自宅前の道路や駐車場、庭などで花火を楽しむ人を見かける機会も多いでしょう。

しかし、個人が花火を楽しむ際には、各自治体の条例や軽犯罪法に違反しないように注意する必要があるのです。本コラムでは、花火を楽しむための基本的なルールや法律によって禁止されるケースについて、ベリーベスト法律事務所 越谷オフィスの弁護士が解説します。


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1、花火で遊ぶ際に守るべきルール

手持ち花火や打ち上げ花火は、スーパーやホームセンター、コンビニなどの一般的な小売店で販売されています。
花火は商品としての扱いは「おもちゃ・玩具」となりますが、火を使うという性質上、危険防止などに気をつけて遊ばなくてはいけません。

まずは、花火で遊ぶ際に守るべき基本的なルールから解説します。

  1. (1)花火の取り扱いに関する基本的なルール

    花火は、取り扱いを誤ると人にケガを負わせたり、付近の住宅などに火災を起こしたりする可能性のある危険なものです
    遊ぶ際には、必ず、商品パッケージなどに記載されている遊び方を守りましょう。
    手持ち花火の場合には手の位置に注意する、打ち上げ花火は手に持たないようにする、といった点に注意しなければいけません。

    また、花火は高温になり、やけどや火事の原因にもなり得るため、人や物に向けてはいけません。
    途中で火が消えても、花火の先に手を出したり、筒をのぞき込んだりするのも危険です。

    さらに、思いがけず火が強くなったり、人の衣服、周囲の物に火が燃え移ったりする可能性もあります。
    花火で遊ぶ際には、必ず近くに水を用意しておきましょう。

  2. (2)場所・時間などに応じて守るべきマナー

    花火は光や音が出る遊びです。
    また、子どもや気分が盛り上がった大人がつい大声をあげてしまうことも考えられるため、遊ぶ場所や時間にも配慮しなければなりません。
    とくに閑静な住宅街などでの使用や、夜間でも深夜帯に及ばないような気配りが必要です
    煙が出やすい花火は、風向きによって他人の住宅に煙が向かう可能性があるため、一度に使う量を減らしたり、状況次第では中止したりするといった判断も求められます

2、花火が違法となるケースに要注意!

花火の取り扱いや使用方法によっては、単なるルール違反やマナー違反だけでなく、法律違反となってしまう可能性もあります。

  1. (1)条例違反となるケース

    自治体によっては「夜間花火規制条例」などを定めて、花火をしてもよい場所や時間を規制しているところがあります
    越谷市には花火の規制条例はありませんが、越谷市都市公園条例により、越谷市の都市公園で花火、炊き出し等を行うため火気を使用する場合は、市長の許可が必要であるとされています(同条例3条1項4号)。

    河川敷なども、自治体が水難事故の防止や環境保全などを目的に条例によって規制を受ける可能性があるため、花火をする前にしっかり確認しておくことが大切です
    花火で遊ぶだけにとどまらず、大勢で集まって、通行人などに乱暴な言動をしていると、埼玉県迷惑行為防止条例で禁止されている「粗暴行為」(同条例2条1項)に当たる可能性もあります。

  2. (2)軽犯罪法違反となるケース

    軽犯罪法は、軽微な秩序違反行為を規制する法律です。

    軽犯罪法は、1条において34もの行為を列挙して処罰の対象としており、「相当の注意をしないで、建物、森林その他燃えるような物の附近で火をた」(同条9号)く行為や、「相当の注意をしないで、銃砲又は火薬類、ボイラーその他の爆発する物を使用」(同条10号)する行為も軽犯罪法違反となる点に注意が必要です。

  3. (3)火薬取締法違反となるケース

    花火は少量とはいえ火薬を用いているので、市販のおもちゃ花火でも、ほぐして集めればある程度の火薬が入手できます。
    これを材料に花火を作ることは、「火薬類の製造」(火薬取締法4条本文)に当たり、事前の許可が必要となる可能性があります(同法3条本文)。許可が必要にもかかわらず、許可を得ずに作れば、火薬取締法の違反となります。

    法律上の規定があるからというだけでなく、火薬の取り扱いは非常に危険であるため、花火から火薬を入手するという行為も決して行わないようにしましょう

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3、道路や駐車場、自宅の庭での花火も要注意!

公園など公共の場所では、条例によって花火の使用が規制されています。
以下では、自宅前の道路や自宅の駐車場、庭などで花火をする際の注意点を解説します。

  1. (1)道路交通法上禁止されている行為に当たる可能性がある

    道路は、たとえ自宅の前でも個人の自由な使用が許される場所ではありません
    道路交通法第76条には道路における禁止行為が定められており、「石、ガラスびん、金属片その他道路上の人若しくは車両等を損傷するおそれのある物件を投げ」(同条4項4号)る行為は禁止されています。
    また、「道路において、交通の妨害となるような方法で寝そべり、すわり、しやがみ、又は立ちどま」(同項2号)る行為も禁止されているのです。

    これらの禁止行為があった場合、5万円以下の罰金(同法120条1項10号)が科せられます
    道路はあくまでも交通のために存在するものであるため、取り締まりを受けるかどうかだけでなく、安全面を考慮しても道路で花火をすることは避けたほうがいいでしょう。

  2. (2)自宅でも火事になれば罪になる可能性がある

    公園や道路といった公共の場所での花火を避けるなら、駐車場や庭といった自宅の敷地であれば問題ないと考えるかもしれません。
    たしかに、自宅の駐車場や庭は公共の場所ではないので道路交通法や条例などの効力は及びませんが、火が自宅や倉庫、庭木などに燃え移って火災が発生すると、刑法第116条の「失火罪」という犯罪になります。

    他人の住宅はもちろん、自己所有の住宅などを焼損した場合でも50万円以下の罰金が科せられてしまうため、周囲の安全を確保できない場所での花火は決して行わないようにしてください

4、花火の使用でトラブルになったときは弁護士に相談を

花火はルールやマナーを守って遊ばなければ重大な危険を生じさせてしまいます
気分が盛り上がっていれば、他人に迷惑をかけてしまっていることにも気づけず、付近の住民などから警察に通報されて罪を問われる事態に発展する可能性もあります。
また、他人にケガをさせてしまったり、他人の住宅や車などに損傷を与えてしまったりするおそれもあるのです。

花火の使用でトラブルになった場合には、まずは弁護士に相談してアドバイスを求めてください。

  1. (1)処分の軽減を目指したサポートが期待できる

    花火の遊び方や使用の状況などで犯罪の容疑をかけられてしまった場合は、まず警察が捜査を行い、次に検察官へと引き継がれ、検察官が起訴すれば刑事裁判へと進みます。
    刑事裁判では証拠をもとに審理が行われて、裁判官が有罪判決を下せば刑罰が科せられるというのが、刑事事件の基本的な流れです。

    公園や道路など公共の場所で花火をしたり、規制されている場所・時間に花火をしたりといった行為があれば、法律や条例に違反している可能性があります。
    「何度も警告を無視して花火を続けた」「建物火災などの甚大な被害を生じさせた」などの悪質なケースでなければ、罰金以上の厳しい処分が課される可能性は低いでしょう。
    しかし、たとえ罰金で済まされたとしても、大切な金銭を徴収されるだけでなく、前科がついてしまいます。

    過度に厳しい処分が科せられる事態を避けるためにも、容疑をかけられてしまった時点で弁護士に相談して、処分の軽減を目指したサポートを受けてください

  2. (2)賠償などのトラブルにも対応できる

    花火で遊んでいる最中に誤って他人にケガをさせてしまったり、住宅や車などを損傷させてしまったりした場合には、治療費やその他の損害を賠償する責任が生じます。

    個人間の交渉では、高圧的な要求を受けて対応に苦慮したり、過度に高額な賠償を求められてしまったりするおそれがあります。
    損害賠償などのトラブルが発生した場合には、専門家である弁護士に相談することも検討すると良いでしょう

5、まとめ

花火はルールを守って遊ばないと、自分や他人にケガを負わせてしまったり、火事などの損害を招いてしまったりするだけでなく、法律違反となって刑罰を科せられてしまうおそれがあります。

花火をしていて法律違反の疑いをかけられてしまった場合は、ベリーベスト法律事務所にご相談ください
穏便な解決を目指して、経験豊富な弁護士がサポートいたします。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています