相続問題を解決に導く相談先は? 各専門家の役割と選び方
- 遺産を残す方
- 相続
- 相談先

越谷市統計年報によると、令和5年の埼玉県越谷市で亡くなった方は3608名でした。相続手続きで悩んだときには、各専門家のサポートが円滑な相続の助けになります。
相続について相談できる主な専門家としては、弁護士・司法書士・税理士・行政書士などが挙げられます。それぞれ対応できる相談内容が異なるので、ご自身の状況に適した専門家に相談しましょう。
本記事では、相続に関する主な相談先や、相談先を選ぶ際のポイントなどをベリーベスト法律事務所 越谷オフィスの弁護士が解説します。


1、相続問題の専門家の種類|対応できる主な業務の違いを紹介
相続に関することを相談できる専門家としては、弁護士・司法書士・税理士・行政書士などが挙げられます。
それぞれ対応できる業務の内容が異なるので、ご自身のニーズに合った専門家に相談しましょう。
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(1)弁護士|相続トラブルも含めて幅広く対応
弁護士は法律の専門家で、相続に関することを幅広く相談できます。
弁護士が対応できる業務の例- 相続財産の調査
- 相続人の調査
- 遺産分割協議
- 留分侵害額請求
- 遺言無効
- 遺産の名義変更
- 遺言書の作成
- 相続放棄
弁護士の業務範囲は幅広く、中でも相続トラブルに対応できるのが大きな特徴です。
相続トラブルに対応できるのは原則として弁護士なので、他の相続人と揉めてしまっている場合には弁護士に相談しましょう。 -
(2)司法書士|主に不動産の相続登記、遺産整理などにも対応
司法書士は、主に登記に関する業務を取り扱う専門家です。相続についても、相続登記に関する業務を中心に取り扱っています。
司法書士が対応できる業務の例- 相続財産の調査
- 相続人の調査
- 遺産の名義変更(特に、不動産の相続登記)
- 相続放棄に関する書類の作成(代理は不可)
トラブルが発生していない相続であれば、司法書士でも対応可能なケースが多いです。
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(3)税理士|相続税申告、生前の相続税対策など
税理士は税金の専門家です。相続に関しても、税務申告や生前の相続税対策を中心に取り扱っています。
税理士が対応できる業務の例- 相続財産の調査
- 相続人の調査
- 相続税の申告
- 得税の準確定申告
- 税務調査
- 生前の相続税対策
相続に関する税金について分からないことがあれば、税理士に相談するとよいでしょう。
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(4)行政書士|遺産分割協議書、遺言書の作成など
行政書士は、法律文書の作成に関する専門家です。相続に関しても、文書の作成などを取り扱っています。
行政書士が対応できる業務の例- 相続財産の調査
- 相続人の調査
- 遺産分割協議書の作成
- 遺言書の作成
なお、行政書士による遺産分割協議書や遺言書の作成は、「内容が決まっているものを法的な言葉に書き起こす」ものになります。
具体的な内容が決まっていない場合に、行政書士が高度な法律的判断を含むアドバイスを行うことはできません。
遺産分割協議書や遺言書を作成する必要があるものの、内容が決まっていない場合には、行政書士ではなく弁護士に依頼しましょう。
お問い合わせください。
2、遺産相続に関する相談先の選び方
遺産相続の手続きから揉め事まで、さまざまトラブルの相談をしたいなら、弁護士以外の専門家は、それぞれ業務範囲が限定されている点に注意しましょう。
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(1)トラブルが発生しているなら、弁護士への依頼が必須
遺産分割協議で揉めている、遺留分が侵害されているので金銭請求したいなど、相続人の間でトラブルが発生している場合は、弁護士への依頼が適任です。
法律紛争が絡む相続トラブルには、原則として弁護士のみが対応できます。
相続トラブルを解決せずに放置していると、事態が長期化し、財産の継承や遺産の売買が難しくなります。速やかに弁護士へ相談して、解決策についてアドバイスを求めましょう。 -
(2)業務範囲が幅広い弁護士に相談し、隣接士業の紹介を受けるのがベスト
不動産の相続登記については司法書士、相続に関する税金については税理士に相談するのが一般的です。
しかし、相続業務を豊富に取り扱う弁護士であれば、司法書士や税理士と緊密に連携しています。弁護士に相談すれば、連携している司法書士や税理士の紹介を受けられるでしょう。
弁護士は自ら取り扱うことのできる業務範囲が幅広いです。それに加えて、司法書士や税理士の紹介も受けられるのであれば、あらゆる相続手続きについてワンストップで対応してもらえます。
まずは業務範囲が幅広い弁護士に相談して、必要に応じて弁護士から隣接士業の紹介を受けると、負担が少ないでしょう。 -
(3)弁護士以外の専門家に相談する際の注意点
弁護士以外の専門家は、相続に関して対応できる業務の範囲が狭く限定されています。
たとえば、当初は司法書士に遺産の整理を依頼していても、途中で相続トラブルが発生して弁護士への依頼が必要になるなど、二度手間になってしまうリスクがある点に注意が必要です。
また、法律上弁護士にしか認められていないトラブル対応の業務を、他の専門家が違法に取り扱っているケースもあるようです(=非弁行為)。
弁護士以外の専門家にトラブル対応を依頼すると、不適切な対応によって予期せぬ不利益を被ってしまうおそれがあります。非弁行為をする専門家に当たらないようにするためにも、初めから弁護士に相談することをおすすめします。
お問い合わせください。
3、埼玉県越谷市周辺で相続の相談ができる主な窓口
埼玉県越谷市周辺では、主に以下の窓口で相続に関する相談ができます。
- ① 越谷市役所の市民相談
市民相談員に対して無料で相談できます。ただし、調停や訴訟が係属中の事件に関する相談はできません。 - ② 法テラス埼玉
経済的に困っている方に向けて、無料法律相談や弁護士費用などの立替払いを行っています。利用するためには、資産と収入がいずれも一定水準以下であることが必要です。 - ③ 埼玉弁護士会の法律相談センター
埼玉弁護士会所属の弁護士に有料で相談できます(30分当たり5500円)。
相続に関する相談の受付日時は、月曜の午前10時〜11時50分と、火曜・木曜の午後1時〜4時10分です。 - ④ ベリーベスト法律事務所 越谷オフィス
遺産相続に関するお悩みについて、弁護士に相談できます。
司法書士や税理士などの隣接士業とも連携しており、あらゆる相続手続きをワンストップでサポート可能です。
4、複数の専門家と連携している弁護士に依頼すべきケース
特に以下のようなケースでは、他の専門家と緊密に連携している弁護士に相談することをおすすめします。ベリーベスト法律事務所には、弁護士以外にもさまざまな隣接士業が在籍しておりますので、安心してご相談ください。
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(1)相続財産に不動産が含まれる場合
相続財産に不動産が含まれる場合は、その分割方法について相続人間で揉めてしまうケースがよくあります。不動産の相続に関するトラブルを防ぐには、弁護士のサポートが欠かせません。
また不動産の相続に関しては、相続登記について司法書士、価値の評価について不動産鑑定士などの協力が必要になることがあります。
司法書士や不動産鑑定士と連携している弁護士に依頼すれば、不動産の相続手続きをスムーズに進めることができるでしょう。 -
(2)相続財産に非上場株式が含まれる場合
亡くなった家族が経営していた会社の株式などの非上場株式も、不動産と並んで、相続に当たって揉めるケースが多い財産です。トラブルなく非上場株式の相続を完了するためには、弁護士のサポートを受けましょう。
非上場株式の相続に当たっては、価値の評価について公認会計士の協力が必要になることがあります。特に自社株式の相続が発生した場合は、公認会計士と連携している弁護士に協力を依頼するのがおすすめです。 -
(3)相続税の申告を要する場合
相続財産等の総額が基礎控除額を超える場合は、相続税の申告が必要になります。
基礎控除額=3000万円+600万円×法定相続人の数
また、「小規模宅地等の特例」や「配偶者の税額の軽減」の適用を受ける場合も、相続税の申告が必要です。
相続税の申告を要する場合は、税理士のサポートが必要になります。また、相続税の申告が必要なほど遺産が多い場合は、相続トラブルのリスクも懸念されます。税理士と連携している弁護士に相談して、スムーズに遺産分割協議や相続税申告などの手続きを進めましょう。
参考:「No.4124 相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)」(国税庁)
参考:「No.4158 配偶者の税額の軽減」(国税庁)
5、まとめ
遺産相続についてはさまざまな専門家に相談できますが、業務範囲が幅広く、他の専門家とも連携している弁護士に相談するのが最も安心です。
ベリーベスト法律事務所には、弁護士だけでなく、税理士・司法書士など相続に関する士業が在籍しています。相続の状況に合わせて協力、連携してトラブル解決に尽力いたします。
また、遺産相続について相談を受け付けております。遺産相続についてお困りの方は、ベリーベスト法律事務所 越谷オフィスへ、まずはご相談ください。
お問い合わせください。
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